洗濯1回の電気代は1.3〜3.5円。30機種で計算したら9割は水道代
洗濯機30機種の「1回あたりの電気代+水道代」くらべ
- 洗濯1回は縦型23.8〜46.3円、ドラム式16.6〜27.2円。うち電気代は全30機種で1.3〜3.5円しかなく、9割前後が水道代
- 同じ洗濯容量ならドラム式のほうが1回6〜13円安い。差の中身は水量で、縦型の平均109Lに対しドラム式は77L
- 公表値は「試験布を定格容量入れて標準コースで1回」の測定値。洗濯物が半分の日の金額ではない
洗濯機を1回まわすと、電気代と水道代でいくらかかるのか。大手5社30機種のメーカー公式仕様から計算すると、縦型全自動が1回23.81〜46.32円、ドラム式が16.63〜27.24円でした。
内訳を見ると、話が変わります。30機種すべてで、電気代は1回1.30〜3.47円しかありませんでした。残りの9割前後は水道代です。
計算はこれだけです。
- 水道代 = 標準使用水量(L)× 0.2618円/L
- 電気代 = 消費電力量(Wh)÷ 1,000 × 31円
あらいまる「洗濯の『1回いくら』は、ほぼ水の値段です。電気のほうは、機種を選び直しても年800円ぶんしか動きませんでした」
ただし、この金額は「洗濯物が入るだけ入っている状態」の数字です。理由は後で書きます。
縦型全自動17機種
標準使用水量と消費電力量は、各社の公式仕様ページに載っている「洗濯(標準コース)」の値です。乾燥まで回した場合ではありません。
| メーカー | 型番 | 洗濯容量 | 水量 | 電力量 | 水道代 | 電気代 | 1回 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| シャープ | ES-GV8L | 8kg | 83L | 67Wh | 21.73円 | 2.08円 | 23.81円 |
| アクア | AQW-VP8B | 8kg | 90L | 52Wh | 23.56円 | 1.61円 | 25.17円 |
| 日立 | BW-V80P | 8kg | 92L | 44Wh | 24.09円 | 1.36円 | 25.45円 |
| 日立 | BW-G70P | 7kg | 95L | 42Wh | 24.87円 | 1.30円 | 26.17円 |
| シャープ | ES-GE7K | 7kg | 88L | 105Wh | 23.04円 | 3.25円 | 26.29円 |
| パナソニック | NA-FA8K1 | 8kg | 97L | 55Wh | 25.39円 | 1.71円 | 27.10円 |
| 日立 | BW-V100P | 10kg | 103L | 50Wh | 26.97円 | 1.55円 | 28.52円 |
| アクア | AQW-VP10B | 10kg | 103L | 60Wh | 26.97円 | 1.86円 | 28.83円 |
| シャープ | ES-GV10L | 10kg | 102L | 98Wh | 26.70円 | 3.04円 | 29.74円 |
| 東芝 | AW-7DH6 | 7kg | 109L | 54Wh | 28.54円 | 1.67円 | 30.21円 |
| パナソニック | NA-FA10K1 | 10kg | 110L | 60Wh | 28.80円 | 1.86円 | 30.66円 |
| シャープ | ES-SW11L | 11kg | 115L | 110Wh | 30.11円 | 3.41円 | 33.52円 |
| 東芝 | AW-10DPB6 | 10kg | 119L | 79Wh | 31.15円 | 2.45円 | 33.60円 |
| 日立 | BW-X120P | 12kg | 123L | 64Wh | 32.20円 | 1.98円 | 34.19円 |
| パナソニック | NA-F7B2 | 7kg | 119L | 112Wh | 31.15円 | 3.47円 | 34.63円 |
| 東芝 | AW-12DPB6 | 12kg | 139L | 102Wh | 36.39円 | 3.16円 | 39.55円 |
| アクア | AQW-VP14B | 14kg | 169L | 67Wh | 44.24円 | 2.08円 | 46.32円 |
17機種の平均は30.81円。水道代が占める割合は88〜96%でした。
ドラム式13機種
| メーカー | 型番 | 洗濯容量 | 水量 | 電力量 | 水道代 | 電気代 | 1回 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| シャープ | ES-8XS1 | 8kg | 57L | 55Wh | 14.92円 | 1.71円 | 16.63円 |
| シャープ | ES-7S2 | 7kg | 57L | 60Wh | 14.92円 | 1.86円 | 16.78円 |
| 日立 | BD-CG80P | 8kg | 75L | 60Wh | 19.64円 | 1.86円 | 21.50円 |
| アクア | AQW-DM10R | 10kg | 77L | 55Wh | 20.16円 | 1.71円 | 21.86円 |
| シャープ | ES-11K1 | 11kg | 75L | 80Wh | 19.64円 | 2.48円 | 22.12円 |
| シャープ | ES-12X1 | 12kg | 77L | 65Wh | 20.16円 | 2.02円 | 22.17円 |
| パナソニック | NA-LX113EL | 11kg | 78L | 68Wh | 20.42円 | 2.11円 | 22.53円 |
| 東芝 | TW-127XP5 | 12kg | 80L | 70Wh | 20.94円 | 2.17円 | 23.11円 |
| アクア | AQW-DXS12A | 12kg | 84L | 55Wh | 21.99円 | 1.71円 | 23.70円 |
| 日立 | BD-CX100P | 10kg | 83L | 65Wh | 21.73円 | 2.02円 | 23.74円 |
| パナソニック | NA-LX129EL | 12kg | 83L | 68Wh | 21.73円 | 2.11円 | 23.84円 |
| シャープ | ES-12P1 | 12kg | 83L | 75Wh | 21.73円 | 2.33円 | 24.05円 |
| 日立 | BD-SX130P | 13kg | 94L | 85Wh | 24.61円 | 2.63円 | 27.24円 |
13機種の平均は22.25円。こちらも水道代が89〜93%を占めます。
なお、この表はどれも「洗濯のみ」の値です。ドラム式で乾燥まで回すと消費電力量は一気に増えます(たとえば東芝TW-127XP5は洗濯70Whに対し洗濯〜乾燥で約1,330Wh、日立BD-SX130Pは85Whに対し約1,150Wh)。乾燥の電気代は別の話になるので、この記事では扱いません。
節電より節水が効く、という結果
30機種を横に並べると、動く額の大きさがはっきり分かれました。
| 何を変えるか | 1回の幅 | 毎日1年(365回)の幅 |
|---|---|---|
| 電気代(30機種の最小〜最大) | 1.30〜3.47円 | 約792円 |
| 水道代(30機種の最小〜最大) | 14.92〜44.24円 | 約10,702円 |
電気の側でどれだけ良い機種を選んでも、動く幅は年800円ほどでした。一方で水の側は1万円を超えます。洗濯機の「1回いくら」を下げたいなら、見るべき数字は消費電力量ではなく標準使用水量のほうです。
すすぎ回数を減らす話が節約として何度も出てくるのも、これで説明がつきます。前に計算したすすぎ1回への変更は1回9.6円でしたが、その内訳も水道代8.9円・電気代0.7円でした。同じ構造です。
同じ容量ならドラム式が1回6〜13円安い
縦型とドラム式を、洗濯容量を揃えて比べました。
| 洗濯容量 | 縦型の平均 | ドラム式の平均 | 差 | 毎日1年 |
|---|---|---|---|---|
| 8kg(縦4機種/ドラム2機種) | 25.38円 | 19.06円 | 6.32円 | 約2,307円 |
| 10kg(縦5機種/ドラム2機種) | 30.27円 | 22.80円 | 7.46円 | 約2,725円 |
| 12kg(縦2機種/ドラム5機種) | 36.87円 | 23.38円 | 13.49円 | 約4,925円 |
差の中身は水です。標準使用水量の平均は縦型109.2Lに対し、ドラム式は77.2L。消費電力量の平均は縦型71.8Wh、ドラム式66.2Whで、こちらはほとんど差がありませんでした。
ドラム式は本体価格が高いので、この年2,300〜4,900円で買い替えを決められる話ではありません。ただ、洗濯の水量を減らしたい人にとって、いちばん大きく効く選択がここにあるのは確かでした。
数字の出どころが2つある
ここからが、この表を読むときの本題です。標準使用水量と消費電力量は、並んで載っていますが、決まり方が違います。
標準使用水量は法律で表示が義務づけられた項目です。家庭用品品質表示法にもとづく「電気機械器具品質表示規程」に、電気洗濯機の表示事項として書かれています。測り方は「JIS C9606(電気洗濯機)の附属書に規定する測定方法」と指定され、単位はリットル。許容範囲は「表示値のプラス十パーセント以内、マイナス二十パーセント以内」です。
同じ規程で表示が義務づけられているのは、この標準使用水量と、外形寸法と、使用上の注意と、表示者名だけでした。消費電力量は、この規程の表示事項に入っていません。
では消費電力量は何を測った値なのか。日本電機工業会(JEMA)の用語解説にこう書かれています。
> 全自動洗濯機の消費電力量は、JIS C 9606「電気洗濯機」で規定されている試験布を定格容量入れ、標準コースで1回運転したときの消費電力量を積算電力計により測定した値となります
日立の仕様ページの注記も、これと一致します。「各データは一般社団法人 日本電機工業会・自主基準『洗濯性能評価方法』によるものです」。つまり消費電力量のほうは、法律の表示義務ではなく、業界の自主基準で条件を揃えた値です。
標準使用水量についても、JEMAは「洗濯機の標準コースで、一定量の衣類等を1回洗濯したときに使用する水の量」と説明しています。
読み方として大事なのは、両方に共通する条件のほうです。この記事の30機種の金額は、その機械の定格容量ぶんの洗濯物を入れて、標準コースで回したときの値です。8kg機は8kgぶん、14kg機は14kgぶん洗った金額を並べています。だから容量の大きい機種ほど1回の金額が上がるのは当たり前で、表の下のほうにいる機種が「ムダづかい」なわけではありません。
洗濯物が半分の日はいくらか、は出せない
ここが公表値の限界です。
多くの縦型は水位を自動で調整するので、洗濯物が少なければ使う水も減ります。シャープのES-GV10Lは水位別水量として「自動 18L〜53L」と公表していて、標準使用水量102Lの内訳が全行程の合計であることが分かります。しかし、洗濯物が4kgのときに全行程で何L使うのかは、どのメーカーも公表していませんでした。
式は解けます。「水量×0.2618+電力量×0.031」に別の数字を入れればいい。ただし入れる数字が公表されていない以上、その答えは計算ではなく想像です。この記事では出しません。
同じ理由で、次のことも今回は分からないままです。
- 標準コースのすすぎが何回なのか(仕様表に記載がありませんでした)
- 洗濯機の年間消費電力量・年間使用水量(今回見た30機種の仕様ページに、年間の値の記載は見つかりませんでした)
- 表示値の実機とのズレ(品質表示規程は標準使用水量にマイナス20%までの許容範囲を認めています。表示100Lの機種が実測80Lでも規程上は適合します)
1社だけ、自分で円を出していた
計算の答え合わせができました。シャープは仕様ページに「一回のお洗濯にかかるコスト」を自分で載せています。ES-GV10Lは29.7円(水道26.7円+電気3.0円)。
同じ機種を今回の式で計算すると29.74円(水道26.70円+電気3.04円)で、一致しました。
単価の出どころは少し違います。シャープが使っているのは日本電機工業会調べの水道137円/m³+下水道125円/m³=262円/m³(税込)。この記事は東京23区の従量料金(口径13〜20mm・月11〜20m³の区分)で水道128円+下水道110円=238円/m³(税抜)、税込に直して261.8円/m³です。ほぼ同じ水準に落ち着きました。
あらいまる「メーカーが自分で出している金額と合ったので、この記事の30機種ぶんの数字も同じ土俵で読めます」
結論
- 洗濯1回は縦型23.81〜46.32円、ドラム式16.63〜27.24円。ただし機種ごとの洗濯容量が違うので、この幅そのものを機種選びの理由にはできません
- 内訳の9割前後は水道代。電気代は全30機種で1.30〜3.47円に収まり、機種を選び直しても年800円ほどしか動きません
- 洗濯容量を揃えて比べると、ドラム式のほうが1回6〜13円安い。差の中身は水量です
洗濯のランニングコストを下げたいなら、順番はこうなります。まず使う水を減らす(すすぎ回数の設定、まとめ洗い、風呂水の利用)。機種を替えるのは、そのあとの話です。
この記事が向かないのは、自分の家の洗濯物の量で回したときの金額を知りたい人です。メーカーが公表しているのは定格容量での測定値だけで、その数字は今回の調べ方では出せませんでした。
→ 洗濯洗剤は1回いくら?液体・粉末・ジェルボール14製品で計算した
金額はこの記事のための計算で、メーカーの公表値ではありません(シャープの1機種を除く)。実際の金額は洗濯物の量・コース・水位設定・住んでいる自治体の水道料金で変わります。
調査・編集:洗濯図鑑編集部。あらいまるは記事の案内役のキャラクターです(実在の人物ではありません)。
この記事の調べ方と、分からないこと
数字は2026年8月3日に、日立・パナソニック・東芝・シャープ・アクアの5社の公式仕様ページから集めました。縦型全自動17機種、ドラム式13機種の計30機種です。実機を買って測ったものではなく、各社が公表している標準使用水量と消費電力量(洗濯時・標準コース)を集めて換算したものです。各社の現行ラインアップ掲載機種で揃えています。日立は仕様データ(/wash/common/json/)、他社は各機種の仕様ページを機械で読み取りました。
換算に使った単価は2つです。水道は東京都水道局の23区料金表から、口径13〜20mm・月11〜20m³の従量区分(水道128円/m³+下水道110円/m³=238円/m³・税抜)を取り、消費税10%込みで261.8円/m³=0.2618円/Lとしました。この図鑑のすすぎ1回の記事と同じ単価・同じ区分です。電気は全国家庭電気製品公正取引協議会の目安単価31円/kWh。円換算、平均、容量帯別の差、年間額はすべてPythonで計算し直して検算しています。
数字の意味も書いておきます。標準使用水量は家庭用品品質表示法にもとづく電気機械器具品質表示規程で表示が義務づけられた項目で、測定方法はJIS C9606(電気洗濯機)の附属書で決まっています。許容範囲は表示値の+10%以内・-20%以内。一方、消費電力量は同規程の表示事項には含まれておらず、日本電機工業会の説明によればJIS C9606の試験布を定格容量入れて標準コースで1回運転した測定値、日立の注記では同会の自主基準「洗濯性能評価方法」による値です。
限界も書いておきます。今回は各社の現行ラインアップから容量帯が散らばるように選んでおり、売れている順の網羅ではありません。10kg・11kgのドラム式は各2機種しか入っておらず、容量帯別の平均はその機種数での値です。実売価格は集めていないので、本体価格を含めた損得は判断していません。乾燥まで回した場合のコストはこの記事の対象外です。そして本文に書いたとおり、洗濯物が定格容量より少ないときの水量・電力量はどのメーカーも公表しておらず、実生活の1回いくらは出せていません。標準コースのすすぎ回数、年間消費電力量・年間使用水量の公表値も、今回見た仕様ページには見つかりませんでした。